- 現状のWeb広告施策に行き詰まりを感じていて、記事広告に興味を持ったが決め手に欠ける
- 広告の目的に対して本当に記事広告の出稿が最適な方法なのか分からない
- ほかのWeb広告施策に比べてコストがかかるようで、見合った効果を得られるか不安感がある
このように記事広告を実施すべきかどうか判断できずにお困りの方も多いのではないでしょうか。記事広告は、影響力の大きい媒体に出稿することでターゲットとの一定量の接触が期待できるものの、出稿料金が100万円以上かかるものがほとんどで手軽には実施しづらいWeb広告施策です。「とりあえずやってみよう!」という動きが取りづらく、様子を見ていると商機を逃してしまうケースがあり、一方で勢いだけで出稿しても思ったような効果が得られずにコストだけがのしかかるケースも少なくありません。記事広告施策を成功させるコツはたった一つ、記事広告特有の強みを生かせるケースで確実に実施することです。
この記事を読んでもらえれば、「記事広告を出稿すべきか」あるいは「出稿を考え直すべきか」を見極められるようになります。アジタスでは他社媒体に記事広告を出稿した経験があり、そのノウハウをお伝えします。
記事ではまず、記事広告の定義や実施例といった概要についてご紹介した後、記事広告の特性に基いて導き出した「記事広告だからこそ成果が見込める本当に出稿すべきケース」と「逆に記事広告出稿の優先度が高くなく、考え直すべきケース」を解説します。さらに、アジタスの記事広告出稿経験に基づく、より高い成果を出すための実施フローやポイントをご紹介。最後に、媒体の選び方についても説明しています。
まさに今、記事広告を出稿すべきかどうか迷っている方が、「出稿or見直し」を適切に判断できるようになり、実際に出稿する場合には成果に結びつけられるようになります。
目次
1.記事広告とは
Web広告の一種として活用される記事広告とは、どのような広告施策なのでしょうか。まずは、記事広告がどんな施策なのか理解できるように、定義や具体例、記事広告ならではの特徴、費用相場をご紹介します。
媒体主のメディアに記事形式で掲載する広告コンテンツ
例えば、弊社で実際に打ち出した記事広告がこちらになります。
BtoBマーケ無料相談「BeMARKEナビゲーター」を実際に受けてみた(3回も)
こちらは、システム開発やデザイン、マーケティングなどに関する情報を発信する株式会社LIGのBlogページで実際に掲載している記事広告です。執筆者でLIGのマーケターでもある、まこりーぬさんに弊社の新サービス「BeMARKEナビゲーター」を実際に使ってみてもらい、サービスの懸念点や利便性を利用者視点で記事としてまとめてもらいました。
記事広告を出稿することの狙い
そもそも記事広告を出稿する狙いとは、掲載先媒体のユーザーへの接触を図り、商材・サービスの認知拡大や興味・関心を促進することです。自社のサービスページやLPなどでサービスに対する興味・関心を促すことが難しい場合、掲載先媒体の信頼性や影響力を借りることで、怪しがらずに読んでもらえる可能性がぐっと高まります。
さらに面白い企画であればよりしっかり読まれ、ある商材についての制作秘話を物語仕立てにまとめた記事や第三者による体験レビュー記事(いわゆる「やってみた」系記事)といった記事風コンテンツが有効とされています。
掲載する媒体による違い
記事広告を掲載する媒体によって下記の点が異なり、出稿する媒体を決めるときの判断基準となります。広告目的に適した特徴を持つ媒体を選ぶことで、より高い成果が期待できます。
- 集客力
- 接触できるユーザー層
- 掲載期間
- 制作費
- 制作期間
なお、記事広告を掲載できる媒体は、紙・Webどちらもあります。ただし、本記事では、Web媒体に出稿する場合の記事広告を中心として解説します。
料金の相場
記事広告出稿の料金相場は、100万円~300万円程度です。媒体の集客力に応じて料金が上下する傾向にあり、特定のジャンルの中で比較的集客力が高い場合は、料金も相場に対して高くなりがちです。料金の変動要因は、媒体の集客力に加えて、訴求できるターゲット層やメディア自体の知名度なども関係します。リーチできる層が限定的で、かつ媒体のPV数やUU数といった集客力が他メディアに比べて弱い場合は相場に対して抑えめの料金で利用できます。
2.記事広告を実施すべきケースとそうでないケース
記事広告は、ほかのWeb広告にない特異性があり、特定の条件に当てはまれば記事広告でしか得られない成果が期待できます。一方で、記事広告が最適な施策とならないケースもあり、その場合は実施しても高い費用対効果や目的・目標の実現は難しいでしょう。
記事広告を実施すべきか見極める上で頭に入れておきたいのが、記事広告の施策としてのメリット・デメリットです。こちらをイメージした状態で、以降で解説する見極めポイントを確認いただけると、より納得感があると思います。
- 広告っぽさを排除でき、読んでもらいやすい
- 媒体の影響力を借りて信頼度を高められる
- 差別化するための豊富な情報を掲載できる
- 費用、手間、時間がほかのWeb広告施策よりもかかりがち
- 出稿する目的とタイミング次第では、費用対効果が低くなる
この章では、記事広告を「実施すべきケース」と「実施する前に考えたほうが良いケース」、それぞれご紹介します。自社で実施するか否かを判断するための判断基準としてご活用ください。
記事広告を実施すべき2つのケース
記事広告の最大の特徴は、他社の媒体のいちコンテンツとして広告を出稿できることです。この特徴を生かせる場合は記事広告を優先して実施すべきでしょう。具体的には、次の2つのケースが該当します。
- (1)市場からの信頼度が低い
- (2)ターゲットとするセグメントに対する施策をやり切った
(1)市場からの信頼度が低い
市場からの信頼度が低いサービスの場合、掲載先媒体の信頼性を借りて、自社サービスを訴求できる記事広告が有効です。市場からの信頼度が低いとは、ユーザーがサービスに対して不安感を抱いたり、無関心であったりする状態を指します。市場からの信頼度が低い状況では、純広告やリスティング広告を打っても、「自分には関係ない」「聞いたことがないサービスで怪しい」といったイメージを持たれてしまい、積極的にそのサービスについて知ろうとは思ってもらえません。
一方で記事広告は、信頼感の欠如をカバーできる施策と言えます。基本的に記事広告の掲載先となるような媒体には一定の信頼が担保されています。広告の中身においても、サービス提供社ではない第三者視点で書かれるため、内容に関して信頼を得やすいでしょう。その結果、市場からの信頼度が低いサービスであるが故の「ほかのWeb広告では見てもらえない」「信用してもらえない」といった弱点を解消でき、記事広告ならではの結果が期待できます。
▼信頼感の担保の役割を期待してLIGに出稿した「BeMARKE」の事例
1章でご紹介した、弊社サービス「BeMARKE」が記事広告を出稿した事例では、公開後1カ月程度で想定していたPV数に達しており、受け皿となるサービスサイトにも一定数の流入がありました。
記事広告で取り扱った「BeMARKEナビゲーター」は、新規性があるサービスで「市場からの信頼度が低い」に該当していました。サービス提供側としては、信頼度の低さから来る不安を払拭した状態でサービスの有用性を知ってもらいたいという願望があり、それを実現できる施策として記事広告という手法を選択しました。
(2)ターゲットとするセグメントに対する施策をやり切った
記事広告を実施すべきケースとして、ターゲットとするセグメントに対して、自社で講じることができる施策をやり切った場合も挙げられます。セグメントとは、特定の属性に基づくまとまりを意味します。
例えば、現在ターゲットとしているセグメントに隣接するセグメントに販促するケースで考えてみましょう。下記は、自社施策によりリーチできるセグメントとリーチできないセグメントを表したイメージ図です。
まずは、講じる施策をリスティング広告とすると、セグメントの属性と出稿キーワードの検索ニーズが合致する場合は、ある程度の効果が期待できます。一方で、セグメントの属性と出稿キーワードの検索ニーズが合致しない、または合致するキーワードが存在しない場合、リスティング広告を打ってもリーチするのは難しいはずです。
このように自社で講じられる施策をほかにも実施したにも関わらず、どうしてもリーチできないセグメントがある場合は、そのセグメントを読者層として持つ記事広告への出稿が有効となります。
記事広告を実施する前に少し考えたほうが良い3つのケース
記事広告はほかのWeb広告施策に比べると費用、時間、手間がかかりがちです。広告の目的や予算、出稿したいタイミングを整理した上で、コスト負担が大きすぎる、記事広告でなくとも目的・目標を実現できる、といった場合は実施すべきか考え直しましょう。具体的には、次の3つのケースが該当します。
- (1)予算・時間・人的リソースに余裕がない
- (2)自社で実施できる施策があるのにまだ取り組んでいない
- (3)自社でもメディアを運営している
(1)予算・時間・人的リソースに余裕がない
記事広告は予算や時間、社内の人的リソースに余裕がない場合は、成果につなげることが難しいため、その状況下でほかにもっと有効な施策がないか検討するのが得策です。記事広告の費用はほとんどのケースで100万円を超え、公開までの日数が1カ月以上かかります。さらに、媒体社からあがってきた企画のチェック・調整・取材対応、といった依頼社側のタスクも発生します。こういった特性を鑑みると、具体的には下記のようなケースでは記事広告を見送ったほうが良いでしょう。
- 施策にかける費用を数十万円程度に抑えたい
- 1~2週間の短期スパンで成果を出したい
- 広告制作にかける時間を最小限にしたい
中には100万円以内で出稿できる媒体もありますが、その一方でリーチできる層が限られる、同じジャンルの媒体に比べて影響力が低い、といった条件付きとなりがちです。また、1カ月以内に公開できる媒体もありますが、企画や原稿に対して自社側でのチェック・フィードバックを怠ると、肝心のコンテンツの内容が薄くなってしまいます。
このように予算・時間・人的リソースに余裕がない場合は、あえて記事広告に固執せずに、広告の目的に合ったほかのWeb施策を検討しましょう。
(2)自社で実施できる施策があるのにまだ取り組んでいない
記事広告以外で未実施の施策がある場合は、本当に記事広告でなければ課題を解決できないか検討してみましょう。例えば、ターゲットに対して、リスティング広告やディスプレイ広告といった手を出しやすい施策でリーチできる可能性があるのに、実施できていないケースが挙げられます。まずは、記事広告よりも安価で、短期的に成果が見込め、手軽に実施できる施策がないか再度考えてなおしてみることをおすすめします。
また、施策により集客した後で受け皿となるページの作りが甘い場合、離脱率が高くコンバージョン率が低くなるため、受け皿のページが仕上がるまで記事広告の出稿は待ったほうが良いでしょう。せっかく記事広告により集客しても、肝心のコンバージョンに導く部分で欠陥があるとバケツに穴が空いた状態と同じで、いつまでもコンバージョンを増やせず、せっかくの投資が無駄になってしまいます。
まずは、リーチできていないターゲットに対して他メディアの力を借りずに実施できる施策があれば検討し、コンバージョンに近い部分で取りこぼしが発生していないかを確認しましょう。
(3)自社でもメディアを運営している
自社媒体を運営していて、成果につなげられていない場合は、記事広告を実施する前に自社媒体の育成に投資することも検討してみていただきたいです。仮に投資分の効果が得られない場合でも、自社メディアの運営に関する知見・経験は蓄積され、長期的に活用する上では無駄にはなりません。結果的に、記事広告のような他社媒体への投資よりも、自社媒体に投資するほうが良いとされる見方もあります。
また、自社媒体を育成することで、媒体としての信頼性向上に伴いサービスの信頼度も高まり、ターゲットの中でリーチできる範囲の拡大も狙えます。最終的に記事広告を実施するとしても、自社媒体を育成しておくことで記事広告の遷移先としての魅力を感じてもらえるようになり、コンバージョン率に良い影響が期待できます。
ただし、媒体の育成による信頼性向上やリーチ範囲の拡大は簡単ではなく、半年~1年程度の試行錯誤が必要で、長くかかる場合は数年程度かかることもあります。早期に成果が求められる場合は、自社媒体の育成と並行する、あるいは優先的に記事広告を実施するほうが良いとされるケースもあります。
3.記事広告を出稿するときの基本フロー
記事広告を出稿することが決まれば、出稿する媒体を選んだり、企画内容を協議したり、と色々とやることがあります。特に記事広告の出稿が初めての場合、媒体がすぐに見つかり、公開までの調整も不要、といったケースはほぼないでしょう。
ここでは、記事広告出稿の初心者でも成果をあげられるよう、出稿前から出稿後までの基本フローを5つに分けて解説します。それぞれの実施ステップについて、具体的な実施方法や考え方もご紹介します。
- (1)出稿する目的を整理する
- (2)出稿する媒体を選んで申し込む
- (3)記事広告の企画を決める
- (4)媒体社とともに記事を作りあげる
- (5)公開&効果を確認する
(1)出稿する目的を整理する
以降で紹介する各ステップを実行するための準備として、まずはそもそもの記事広告を出稿する目的を整理し、明確化します。出稿する目的とは、広告で実現したいことであり、具体的に表すと「誰に、どんな態度変容を期待するのか」です。例えば、マーケティング部門の中堅クラスに、記事広告経由でサービスの導入事例ページへと遷移してもらう、といった具合です。「誰に」は記事広告で訴求したいターゲット、「どんな態度変容」は記事広告に接触したターゲットに期待する行動、とすると考えやすいでしょう。
さらに、目的を整理した上で、もう一歩踏み込んで定量的な目標値まで設定しておきたいところです。上の例で考えると、「記事広告経由でサービスの導入事例ページに流入するユーザー数1,000人」が目標の一例となります。この一例は、指定した行動に対する実施人数を目標値とする考え方です。以降のステップでは、ここで設定した目的と目標値を達成するために最適な媒体・企画・記事内容を検討していきます。
- 記事広告でリーチしたいターゲットを定める
- リーチしたターゲットに期待する態度変容と行動を決める
- 出稿する目的の達成基準として、定量的に測れる指標で目標値を定める
(2)出稿する媒体を選んで申し込む
広告目的や目標の達成において最適な媒体を候補から選び、媒体担当者と各種条件を確認・すり合わせして問題なければ申し込みます。ここで特に重要なポイントは2つです。
媒体特徴の比較検討
1つ目は媒体ごとの読者層や集客力を確認し、その上で目的・目標達成に最適な媒体を比較検討することです。比較項目は以下のような指標、基準が挙げられます。
- 媒体の読者属性
- 媒体の集客力(UU数・PV数)
- プラン内容、費用、発注から公開までの制作期間
- 掲載方式
なお、媒体社ごとに媒体の特長や強みをまとめた資料を発表しています。候補とした媒体社の最新情報を揃えて検討しましょう。候補の中から選定するときのポイントは4章で詳しく解説します。また、5章では具体的な媒体の一覧表を掲載しています。
広告要件の設定
ポイントの2つ目は、媒体社に申し込む前に広告の要件を固めておくことです。少なくとも下記項目については社内で認識を合わせておき、媒体担当者に説明できるようにしておきましょう。
- 掲載開始希望時期
- 予算
- サービス内容
- ターゲット(サービス全般・記事広告で接触を狙う層)
- KPI・KGI
- 課題・施策を実施する目的
- その媒体に興味を持った理由・背景
もしも要件が定まっていないと、媒体社から最適なプラン・企画を提案してもらえない可能性が高まります。つまり、投資に対して最大の効果を得づらくなる状況を招き、結果的に記事広告施策の費用対効果が低くなってしまいます。
(3)記事広告の企画を決める
媒体社への申し込みが完了したら、媒体社と依頼社の両社で意見交換しながら企画内容と記事構成を決めます。まずは、媒体社から記事広告における目的やターゲットについてヒアリングを受け、そのヒアリングをもとに企画が提案されます。そして、企画に対して依頼社目線でフィードバックを入れ、両社間で協議して企画・構成を固めていきます。
記事広告の企画には、よく実施される王道の4つのパターンがあり、下記はそれぞれのパターンと具体的な企画例をまとめたものです。
- 【1】第三者目線でのサービス紹介
- 例:有識者や編集部員によるサービス紹介、サービス比較企画
- 【2】インタビュー
- 例:サービス開発者から聞く製作秘話、サービス担当者と有識者との対談企画
- 【3】イベントレポート
- 例:セミナーでの講義内容をまとめる企画
- 【4】体験レビュー
- 例:編集部員や著名人のサービス利用体験に基づいた「やってみた系」企画
中でも記事広告らしさが出る企画が、【4】体験レビュー(いわゆる「やってみた系」)です。媒体社の編集部員や有識者などが販促するサービスを実際に使ってみて、感想や使用前後のプロセスをまとめます。
記事広告で成果をあげるためには、企画・構成を決めるフェーズで「記事自体の面白さ」と「目的・目標を達成できる内容」を両立させることが重要です。面白さと成果を両立できる企画・構成を考える役割は媒体社にありますが、その前提となる要件を依頼側がきちんと説明しなければ良い企画・構成は作れません。依頼側は「提案された企画内容が要件と整合性を取れているのか」という観点でのフィードバックが求められます。
実際に弊社で実施した、BeMARKEの「体験レビュー系」(いわゆる「やってみた系」)」の記事広告のケースでは、媒体社からの提案をもとに、誰が「やってみる」のか、「やってみた」の中身をどのように見せるか、「やってみた」結果を記事の結論としてどう落とし込むか、を媒体社と協議して企画をブラッシュアップしていきました。
(4)媒体社とともに記事を作りあげる
企画・構成が固まったら、媒体社のほうで原稿を作成してもらい、自社でのフィードバック、媒体社での修正を経て記事として仕上げていきます。
まず、基本的には原稿制作の前に媒体社からの取材が発生します。取材形式はさまざまで、サービス担当者への単独取材、有識者への取材、サービス担当者と媒体編集部員の対談形式の取材、など企画によって異なります。もちろん取材形式・内容は媒体社で検討し、提案してもらいますが、取材時にきちんと回答できるように準備しておく必要があります。
媒体社から原稿が提出されたら、自社ではサービスの内容や見せ方に齟齬・違和感がないかをチェックし、媒体社に修正を依頼します。なお、原稿修正は回数が1、2回程度と決まっているケースが多く、何度も対応してもらえるわけではありません。また、原稿中の表現や細かい見せ方についての修正は対応してもらえても、企画や構成といった大きな修正に対応してもらうことは難しいでしょう。原稿を確認した時点で当初描いていたイメージとのギャップが生まれ、大幅な修正が発生しないよう、企画・構成を決める時点で媒体社と認識を合わせることが重要です。
- サービスに関する表記(サービス名、サービス内容、効果のエビデンスなど)
- 今後変更が生じる可能性のある機能、サービス内容の有無
- サービスの見せ方に対する違和感の有無
(5)公開&効果を確認する
原稿修正のやり取りが完了し、内容が確定したらいよいよ媒体で公開します。公開から一定期間後、あるいは掲載終了後に媒体社から施策のレポートを受領し、効果を確認します。
レポートの形式・内容は媒体社によって多少異なりますが、一定期間中における当該記事広告のPV数、記事広告を起点としたコンバージョン数、といった重要事項はどの媒体でも報告を受けられるはずです。これらの情報をもとに今回の記事広告における費用対効果を算出し、施策の振り返りを実施しましょう。
- 記事広告自体のPV数は良好だった
- 記事広告を起点としたコンバージョン数は思うように伸びない結果に終わった
- 記事広告接触からサービス申し込みまでのハードルが高い
- 記事広告を通してサービスに興味を持ったユーザーに対してハードルを下げた遷移先の提示が必要
記事広告の種類によっては掲載期間が限られていて、掲載期間中に改善を図ることが難しいケースもあります。だからと言って施策をやりっぱなしで、分析を怠ると何も学びを得られません。BeMARKEの例のように、記事広告以外の施策でも共通するような課題・改善案が見つかることもあるので、ぜひとも実施後の検証・分析には取り組んでいただきたいです。なお、記事広告のレポート作成が各媒体社のプランに必ず含まれているとは限りません。媒体資料を確認し、レポート作成対応の有無を確認してみてください。
ちなみに媒体社によっては、記事広告を多くの人に読んでもらう、または特定の属性に該当する人に読んでもらうために、記事広告公開後にSNSやメーリングリストを活用した広告施策もオプションで利用できます。別途費用をかけてでも、販促目的・目標によりコミットできる場合は検討してみても良いでしょう。
4.記事広告を出稿する媒体の選び方
記事広告出稿により成果をあげる上で特に重要な要素は、施策の目標達成に最適な媒体を選ぶことです。媒体選びに失敗すると、目標値に達しない、または目標値に達したとしても費用対効果が低い、といった結果が待っています。ここでは、媒体選びで失敗しないための2つのポイントを解説します。
リーチしたいターゲットと媒体の読者が合致している
記事広告により成果を出すためには、リーチしたいターゲットを読者としている媒体を選ぶことが重要です。媒体ごとに扱っているテーマや狙っているターゲットが異なり、訪れるユーザーの職業や年齢、性別、組織でのポジション、といった属性に特徴や傾向があります。広告により接触したいターゲットと出稿する媒体で実際に接触できる属性に乖離があると、記事広告を見てもらえたとしてもその後のコンバージョンを期待できません。
例えば、BtoBにおける営業効率化サービスを販促する場合、主に営業やマーケティングチームを主管する課長・部長クラスへの訴求が有効です。この場合、出稿する媒体が営業・マーケティング領域の読者層を持っているとしても、メイン読者の階級が管理職ではなく現場社員であれば、ターゲットと接触できる属性に乖離があり、その媒体で記事広告を打つメリットがありません。言い換えると、管理職クラスの訪問割合が高い媒体を選ぶことでコンバージョンにつながる属性にリーチしやすくなり、成約率も高まります。
なお、自社で設定したターゲット像が曖昧、または見当違いだと、媒体の読者層とターゲットが合致していても、サービスの販促にはつながりません。そのため、まずは適切なターゲットを設定できていることが重要です。加えて、媒体のコンセプト・雰囲気とターゲット属性がマッチしていることも重要です。この観点で媒体を比較検討するためにも、まずはターゲットの明確化が不可欠でしょう。
目標を達成するための十分な集客力がある
記事広告を出稿する媒体を選ぶもう一つのポイントは、施策の目標を達成するために十分な集客力を持つ媒体であることです。媒体によって、月間の集客数(月間PV数)や1記事あたりの想定接触数(想定PV)が異なり、この数値を見ることで集客力の程度を測ることができます。目標に対して媒体の集客力が低いほど、目標達成までに要する期間が増える、あるいは目標達成自体が難しくなります。
例えば、記事広告の目標が「公開から2カ月以内に問い合わせ数100件獲得」のケースで見てみましょう。
- 記事広告接触数のうち10%がサービスLPに流入
- サービスLP訪問数のうち10%が問い合わせ
- サービスLPへの訪問数目標
- 問い合わせ数100件=サービスLP訪問数×10%
- サービスLP訪問数=1,000人
- 記事広告への接触数目標
- サービスLP訪問数1,000回=記事広告接触数×10%
- 記事広告接触数=10,000回
このケースでは、記事広告により問い合わせ数を100件獲得するためには、記事広告による接触数が10,000件必要と考えられます。今回は記事広告の接触数のうちサービスLPへの遷移率を便宜上10%と設定しました。ただし、実際の遷移率は媒体・記事広告の内容により変動し、目安は媒体元に確認すると良いでしょう。
さらに媒体ごとに公表している1カ月あたりの想定PV数をもとに目標達成までの期間を算出できます。1カ月で10,000PV獲得できる媒体であれば1カ月で目標達成、5,000PVであれば2カ月で目標達成、といったように考えられ、今回のように公開から2カ月を目処とすると1カ月あたり5,000PV以上を獲得できる媒体が妥当と言えます。ただし、集客力が大きいほど費用も増大する傾向にあります。広告予算との兼ね合いを考慮しつつ、目標達成の実現性が高い媒体を選びましょう。
5.BtoBマーケティングに有効である主要な媒体社一覧
成果につながる媒体の選び方を理解したら、いよいよ実際に媒体を比較検討していきます。このときに、0から自社に合った媒体を探して、比較項目を見つ出すのは時間と手間がかかるもの。
ここでは、BtoB向けのサービスを販促したい企業様向けに、BtoB商材と相性が良い主要な6つの媒体をご紹介します。各媒体について、費用や集客力を下記表でまとめており、媒体の特徴やおすすめのユーザータイプも表以降で説明しています。
なお、各媒体の情報は執筆時点のものですので、実際に申し込みを検討する場合は媒体社が発表している媒体資料をご確認ください。
メディア名 | LIGブログ | ITmediaビジネスオンライン | ferret | WIRED | 東洋経済オンライン | MarkeZine |
費用 | 80万円~ | 150万円~ | 80万円~ | 150万円~ | 250万円~ | 90万円~ |
集客力 (想定PV数/記事) |
3,000~10,000PV/記事 | 3,000PV/記事~ | 3,000PV/記事 | 1.5万PV | ― | 2,000~4,000PV/記事 |
メディアの集客力 (月間PV数) |
500万PV/月 | 4,700万PV/月 | 550万PV/月 | 3,000万PV/月 | 2億PV/月 | 78万PV/月 |
集客力や費用のほかにも、媒体によって記事広告原稿の修正回数、掲載期間、二次利用の範囲、などの制作・公開条件が異なります。記事広告のコンテンツ内容の一部を二次利用して自社媒体コンテンツに活用したい、といったような融通がきかないケースもあるので、上記に挙げたような項目の自社にとっての重要性を改めて検討しましょう。
(1)LIGブログ
記事広告を公開する媒体はLIGブログ。正確には、LIGのコーポレートサイト内の「Blog」カテゴリのページで掲載されます。主な事業は企業のDX推進を中心にシステム開発やデザイン、マーケティング支援など。BlogページではWeb制作やPR、デザイン、DXなどに関するナレッジ記事を発信しています。
LIGブログでは、記事広告の制作本数が1,000本以上にのぼり、実績の豊富さが伺えます。また、SNSで拡散されるようなおもしろ系記事を得意としている点も強みの一つです。
メインの読者層は20〜30代のIT系ビジネスパーソンです。例えば、サービスのターゲットがこの層に該当する企業様であれば、利用を検討しても良いでしょう。1本80万円〜という費用感でありながら、コンテンツに定評があり、難しいテーマでも興味を持って読んでもらいやすい記事広告が何本も公開されています。
(2)ITmediaビジネスオンライン
「ITmediaビジネスオンライン」では、記事広告はトップページや各カテゴリのページに掲載されます。媒体で扱われるテーマは、ビジネスパーソンがキャッチすべき企業・業界動向、彼らが抱える業務上の課題を解決するヒントなど。読者企業での戦略立案や働き方改革につながる行動を促すコンテンツを発信しています。
主な読者層は、企業の営業、マーケティング部門、管理部門の方など。媒体に接触するユーザーは、業種で見ると製造業がほかに比べて多く、職種で見ると研究・開発といったものづくり関連が多いようです。また、記事広告のプランが豊富で、広告の目的に応じて最適な実施方法を提案してもらえます。例えば、BtoB向けサービスであれば、記事広告によりある程度が見込め、中でも製造業・ものづくり系職種をターゲットとする場合は、媒体との相性が良いでしょう。
(3)ferret
「ferret」では、記事広告は主に「記事」カテゴリのコンテンツの一つとして掲載されます。サイトのコンセプトが「マーケターのよりどころ」と表現されるように、サイト内ではマーケティング領域における課題やトレンドを扱っています。
主な読者層は、企業のマーケティング担当者です。ferretには会員登録システムがあり、その会員数は46万人。会員のうちいわゆるマーケターの比率は約60%で、人数にして200万人のマーケターとの接点を持つことができます。中でも、CMS・動画マーケ・SNSマーケ・Web広告・BI・アクセス解析・SEO・MA・Web接客・CRM、に該当するカテゴリでのリード獲得に実績があり、例えば、Webマーケティング関連のサービスと相性が良い媒体と言えます。
(4)WIRED
「WIRED」では、記事広告はジャンル・テーマごとのコンテンツの一つとして掲載されます。テクノロジーが介在するさまざまなカテゴリーを扱っており、ライフスタイル、ビジネス、 音楽、教育、政治、ゲーム、アート、デザイン、スポーツ、 科学、文学など多様なジャンルのコンテンツを発信しています。
扱うジャンルの多様さに比例するように、読者層も学生から決定権を持つビジネスパーソンまで幅広いことが特徴です。SNSでのフォロワー数も多く、Webサイトへの月間訪問数と各種SNSフォロワー数を足すと、延べ360万人にリーチできます。媒体の世界観や発信する情報に独自性があり、例えば、流行に敏感で自ら情報収集して判断する、いわゆるアーリーアダプター層にリーチしたい場合におすすめの媒体です。
(5)東洋経済オンライン
「東洋経済オンライン」では、記事広告はジャンル・テーマごとのコンテンツの一つして掲載され、一部はトップページで「トレンドライブラリー」として掲載されます。母体である、東洋経済の強みを生かした、ビジネス、政治・経済、マーケットを得意としており、加えてキャリア・教育、ライフスタイルに関する記事も多く発信しています。
読者層は、若い世代から経営者層まで幅広く、中でも、40歳、首都圏在住、係長~部長クラス、既婚、共働き、子供あり、に該当する人をメイン読者としています。さらに読者にDX推進に対する意識が強い傾向があり、例えば、DX関連サービスとの相性が良い媒体です。
(6)MarkeZine
「MarkeZine」では、記事広告は記事カテゴリのコンテンツの一つとして掲載されます。MarkeZineは、IT/ビジネス系書籍を出版する株式会社翔泳社が運営するマーケティング専門メディアです。最新ニュースや業界スペシャリストによる寄稿、業界キーマンや先進的なマーケティングに取り組む企業担当者・役員へのインタビュー記事などを発信しています。
読者の傾向としては、所属部門がマーケティング・経営の方が約半数で、業種としては、製造・Webサービス・小売など幅広く、いわゆる広告主企業が読者の約7割を占めます。さまざまな業種の読者がいることから、あらゆる業種のマーケターにリーチしたい場合に相性が良い媒体と言えるでしょう。
まとめ
この記事では、記事広告を出稿すべきか、見直すべきかの判断基準と実施する場合により高い成果をあげるためのポイントをご紹介しました。
記事広告は他の広告手法にはない独自の強みがあり、出稿すべき条件に該当する場合は高い効果が期待できます。ただし、どんな状況でも優先的に実施すべき施策ではありません。もし「記事広告の出稿を見直すべき」に該当する状況だとしても、広告やそれ以外でもマーケティングの手法はたくさんあり、打ち手はいくらでもあります。
自社がどの手法をとるべきかお悩みでしたら、お気軽にアジタスにご相談ください。貴社にとってベストな手法をアドバイスいたします。